コア技術「フラックス法」を用いて創成した機能性無機結晶材料「信大クリスタル®」は、様々な産業への展開が期待できます。
例えば、浄水デバイス、生体適合デバイス、リチウムイオン二次電池などの画期的な商品・システムの創出に向けて、企業や大学などのパートナーと連携しながら事業化を進めています。
「信大クリスタル®を製品化したい」、「信大クリスタル®で課題を解決したい」、「信大クリスタル®で自社製品をワンランクアップさせたい」など事業化パートナーや共同研究先を求めています。
クリーンで安全・安心な水環境
飲料水・生活用水・排水などから人体や環境に悪影響を与える有害な物質(イオン)を除去し、安全な水を提供します。
日本国内だけでなく世界の水問題解決に向けて、各国各地域の水事情に合わせた様々な有害物質のオンデマンド除去を実現する結晶材料を搭載した浄水器を開発しています。
重金属吸着材の開発
信大クリスタルの一つである重金属吸着材は、水中の有害物質を高効率かつ選択的に除去します。
フラックス法の特徴である結晶の形態制御により、
飲料水から有害な重金属(鉛、カドミウム等)を選択的かつ高効率に除去します。
ヒダ状構造を形成することで表面積を拡大し、吸着性能を向上させています。
重金属吸着材を搭載した浄水器
重金属吸着材については、材料メーカーと共に量産化可能なプロセスを確立しました。さらにこの材料を搭載した携帯型浄水ボトル「NaTiO(ナティオ)」をトクラス(株)と共同開発し、平成30年12月に上市しました。
家庭やオフィス、店舗などでの多様化・高度化する浄水ニーズに合わせて、様々な浄水デバイスへの展開を予定しています。
世界の水問題解決に向けて
世界中の多くの地域が未だ、重金属、ヒ素、フッ素などによる飲用水や生活用水の汚染問題を抱えています。
世界中の人々がクリーンで安全・安心な水を手にするには、これらの有害な物質(イオン)を取り除く必要があります。
アフリカでの取り組み
アフリカの一部地域では、飲用水として使用する井戸水、地下水中のフッ素過多が問題となっています。
信大クリスタルには、水中に溶出した硝酸/亜硝酸態窒素・ヒ素・フッ素等を吸着除去可能なアニオン吸着結晶があります。
このアニオン吸着結晶を搭載した浄水器を試作し、アフリカ タンザニアにおいて現地の水源を用いた性能評価試験を行い、フッ素含有量を水質基準値以下に低減できることを実証しました。
これらの成果はSDGsへも大きく貢献できます。世界中で安心・安全な水環境が実現できるように取り組んでいきます。
リチウムイオン二次電池材料の開発
リチウムイオン二次電池の高出力・高耐久性を目指し、正極材料、電極表面処理技術、絶縁性バインダーレス化技術などの研究開発を実施しています。複数の最終製品メーカー、電池メーカーあるいは材料メーカーとサプライチェーンを網羅した協業体制を既に構築しており、大学保有の技術シーズを用途別のニーズに落とし込む研究開発を推進しています。
戦略パートナー企業に技術を移転し、小スケール生産の実施および有償でのサンプル販売、さらに実セルでの電池性能の評価を開始しました。県工業技術総合センターの紹介で県内の電子部品メーカーとの協業を開始、保有技術の新たな展開先として技術の可能性検証を共同で実施しています。
固体電池材料の開発
混合固体電解質
固固界面で形成されるリチウムイオン経路の設計・合成,解析技術を開発しています。リチウムイオン伝導に有効な粒界や異相界面を形成することで,固体電池の出力特性を高い水準で維持することが可能です。
Heat Radiation
放熱
放熱
高効率に熱を伝導できる高熱伝導性材料を開発しています。
フラックス法による結晶の形態制御により、樽型窒化ホウ素の育成に成功しました。
電子機器などの高性能放熱フィラーとして応用が期待できます。
Medical
医療
フラックスコーティング
フラックス法の原理を応用したコーティング技術(フラックスコーティング)により、様々な基材の表面に結晶層(薄膜)を創製することができます。
これにより元の基材の特性を保持したまま新たな機能を付加することが可能となります。
フラックスコーティングの医療応用
PEEK※樹脂の表面をフラックスコーティングより処理することで、骨親和性を向上させることができます。
PEEKは優れた機械的特性を樹脂ですが、人工関節などの医療用材料としては骨と癒合しにくいという問題点があります。PEEKの表面をフラックスコーティングすることで、機械的特性はそのままに骨となじみやすいという特徴を表面に付与することができます。
※PEEK:ポリエーテルエーテルケトン (Poly Ether Ether Ketone)