フラックス法とは

フラックス法は信州大学が世界を先導する無機単結晶の育成法です。

高品質な結晶を得るには、材料となる原子をいったんバラバラ(液体や気体)な状態にし、規則正しく並べ直す必要があります。一般的な結晶育成は、材料を物質の融点まで加熱し融液とし、冷却することで結晶化を図ります。

フラックス法は、溶質(原料粉末)をフラックス原料に加熱溶解させ、冷却やフラックスの蒸発による過飽和度の増加を利用し、結晶を育成します。

例えば食塩を液体にする場合、固体が液体に変わる温度(融点の約800℃)まで加熱しますが、溶媒である水に溶かせば室温で液体にできます。このように、溶媒(フラックス)を用いることで融点よりも低い温度で高品質な結晶を作る技術がフラックス法です。

フラックス法による結晶育成イメージ

フラックス法の特徴

◆ 高品質な単結晶が育成可能

・ 熱歪みの少ない、自形(結晶本来の形)をもつ、粒径が均一 などの特徴を持つ高品質な単結晶を育成することができます。

◆ 結晶形態(結晶面)の制御が可能

・ 結晶育成の条件(原料、雰囲気、溶媒の種類、温度、保持時間、冷却条件等)を変化させることで、結晶形態(結晶面)の制御し、高機能化を容易に実現します。

◆ 簡便な装置と簡単な操作(低コスト)

・ エネルギー源(例.電気炉)とレシピ(結晶育成条件)があれば結晶作成できます。

◆ 融点より低い温度(約100℃~)で結晶育成  ※目的結晶に依ります

◆ 結晶育成時間は、数十分~数十時間  ※目的結晶に依ります

信州大学フラックス技術の特色

  • 信州大学の手嶋・是津研究室は、フラックスサイエンスに係る唯一無二の研究拠点であり、オンリーワン&ナンバーワンの結晶育成技術を有しています。

  • 50年以上にわたり蓄積してきた300種類以上の結晶育成条件(レシピ)を保有しています。

  • 通常の大学では小スケール(gオーダー)での材料生成が一般的ですが、信州大学では準量産レベル(数百g、kgオーダー)で製造できるものもあります。

フラックス技術で育成した様々な結晶例